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ふたりが別つと

by sono

第一回 #fediverseワンドロワンライ

お題「冬」

制限時間:1時間

(お仕事中にかいたら分割1時間になっちゃった。ごめん)

書いた日 11月9日11時半~12時、14時半~15時

ねえ、いつ死んでもおかしくないんだって。

恭一郎が布団の中で僕に教えてくれた。おやすみ、と囁きあうまで隠していた彼の気持ちがわからない。

唯央(いお)は、えっ、と反応出来ず羽毛布団をポンっと蹴りあげる。驚きで足が反射的に上がり、寒さに触れる。昔ながらの家は、寒冷地にはきつい。部屋は暖めているが寒さのが強い。それに今の話で外気よりも唯央の心が冷たくなった。哀しみよりも、遂に来てしまったという気持ちのが強い。

二人口数が少ないながら午前中まで、温かみを持った家庭を築いていたのに、午後の診療にいってから元気が無くなっていた。唯央は恭一郎の家族であるが、家族ではない。診察につきそうことはあっても、詳しい内容を直接聞くことはない。いつも恭一郎を病院まで送り出し、結果を聞くのみ。今日は帰りの車でそういう話は一切なく、珍しく日常的な話題と畑のことについて多く喋った。

帰りに恭一郎から食事をしよう、と言い出した。珍しく言い出すので唯央はウキウキして店を選んだ。

その後ろでは全くテンションが違う恭一郎がいたことにも気づかないほど喜んだ。

唯央は恭一郎のことを本当に好きなのだ。彼はそんなことをめったに言わないが、毎日でも言いたいくらい唯央は好いている。だから二人での外食は心が躍るくらい嬉しい。山の中に住んでいるせいでもあるが、一人で食べるよりも何倍も幸福度が違う。

恭一郎は、四十を超えた独身である。田舎にしては収入がそこそこあり、土地と家と畑を持っている。細い体と真面目そうな顔つき、寡黙な男。そのせいで異性から好かれることはなかった。

おかげで、唯央は転がりこめたのでよかったと思っている。

「唯(ゆい)が今日も明るくてよかったなあ」

哀愁だけが響く。

「しみじみ言うことなのそれ。明日も明るいよ僕はね」

食事をしよう、とか普段は言わないので正直唯は驚いた。疲れるからすぐ帰ろうとは言う。

「どうしよう」

どうしよう、それは僕の台詞だ。

静かな口から、そんな寂しい事を告げるような風には見えなかった。

恭一郎の温かみがあって冬の布団は温もりを感じるのに、その相方が居なくなるかもしれない。

はっきり言って唯央にとって恐怖だ。

毎日同じように向き合って眠りに入るときに、死が来ると相方が告げてこれば困惑するしかない。僕の湯たんぽ的な存在が居なくなる。

急なことを言われると人間意外と何も言えないんだなと逆に実感させられる。

「唯、どうする?」

向き合っているのに、冷たい空気の壁で間を隔て僕を拒否していた。

彼だけが呼ぶ僕の名前がもう聞けない。

「どうする、とは」

「これからどう生きる?」

彼をちゃんと見つめてしまうと、寒さが唯央の喉を伝い、眼を刺激して涙が出そうになる。暗い部屋をオレンジ色の豆電球がほのかに照らし僕たちの硬直した雰囲気をぼんやりさせる。

まっすぐ天井を見て眠る体制は死が近い彼が眠っていく姿にも思えて気持ちが深く沈みしんどい。

どうにか彼をこの世に生かせるために一緒にすごしてきた。

起きて食事をして、薬を飲んで、風呂に入り、洗濯をして、ちゃんと眠る。恭一郎にはこれが難しい。心身ともに健康でなければ、幼児のころに教わった生活の基本すら困難になる。

早死にするから一人のがいい。

彼の口癖はこれだった。

彼を憐れみもあったが長くこの世にとどめておきたかったのは唯央のほうだ。

唯央は衣食住整えるのが好きで、『少し』潔癖なところがある。唯央みたいな男は女性にお世辞でもモテることはなかった。おかげで初めて自分で選んだ相手が、恭一郎みたいな病気で実年齢上に歳をとった風貌の変なヤツを選んでしまった。

彼が勝手に死んでいかないように見張る。唯央の務めは今、これだけだ。

しっかりと肉がついていた彼の指を思い出し、今の恭一郎の手を握る。恭一郎の指は乾き老いた艶が無い。唯央がしっかりと握ってしまえば折れて無くなってしまいそう。

唯央と恭一郎は歳が十五個違う。唯央の体つきがいいのか、恭一郎が病的に細いのかわからないが、体型や顔を見るとそれ以上離れているせいで年齢以上の歳だと言われる。

「どうする」

「この家は僕がもらう」

「それでいいよ」

結局、僕たちが法的に家族になることはない。

土地と建物を所有している彼の所に転がりこんだ僕がこの人の持ち物をもらってやっと、心のすみで家族になれたと勝手に思うだけだ。昔からの土地と畑をもらうことは身寄りのない彼と僕にとっての何よりの証になるかもしれない。

終わり。

一時間たった。

個人的なこと、感想など🥰

修行が足りない。

冬って、何。

お題センス、ノーセンス。

唯が恋に気づいたのは、押しかけていって困った顔を見たいと思ってしまった時なんだよね。って話が書きたかったの。

ぽつんと一軒家ばりに人がいない寒い地域に住んでる。

この土地は先祖代々のもので誰にも譲る気がないけど唯ならいいっか。みたいな。

契約書に一緒の名前のったらいいよねみたいな雰囲気で書いた。(テキトウ)

こんな辺鄙な場所にまた来た!って眉根を寄せて言われて喜んでる唯がみたかった。にこにこしてそう、唯は。

すぐ隣の家(nキロ先)がここなんです。この人たちは。

一人で生きてる早く死にそうな人間を立て直して暮らすとかそういうのかきたい。

早死にするからいいよ!っていうほど長生きするらしい。

生活出来ない人なんだねえって唯に言われて目が泳いで、なんも言えんって唇を硬く結んで言い訳考えるとか色々考えたよ。

こうやって、幸せなシーンと暗いところを考えた。寂しい話が好きなの。

「早老症ウェルナー症候群」の恭一郎でした。

暗くてハッピーな話オススメくだ……!!!

笑い合っていてもいつか死んでしまうんだ、人間。

終わりです。

茅野 奏。

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