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コンサバトリーを抜ける

by sono

第2回Fediverseワンドロワンライ

お題「図書館」

制限時間:1時間

製作日12/09/2020

 きゅうきゅう鳴くコンサバトリーの扉を開け、生い茂った木々をかわし、まっすぐ進んだところにあるかつての図書館は曰くつきらしい。誰かがそう言っているのを聞いた。

 図書館の古い木製扉を同じリズムで三回ノックし、誰もいないことを確認する。青黒く錆た小さいドアノブを回しても人は居ない。

 古い扉をあけると埃がきらきらと舞っているのが見える。扉を開けたままにし、少し進む。入り込む明かりを頼りに、ぶら下がった白熱灯の電源を回す。

 いつ見てもこの部屋は荒れている。古ぼけた匂いが漂う。はっきり言って臭い。この部屋に毎週来ているので慣れてはいるが、吸いたい空気ではない。壁は黄ばみ、本棚が自由に崩れ、石畳の床に本が散乱している。年季の入った本は装丁がぼろぼろになりページがところどころにはみ出ていた。

 扉に「Entrée interdite」と書かれた札をかけ、誰も見ていないことを確認し閉める。部屋の奥に進みいつもの椅子に腰を下ろす。

――普通の生徒が旧図書館に行くときは護衛を付けないと飲み込まれる――

 僕は普通の生徒ではない。曰く付きの理由は僕が一端を担っている。

 僕がこの部屋に入るのは決まって毎週木曜日の十五時。この時間に僕が遅れることはない。木曜日のこの時間は都合がいい。芸術を学ぶ生徒が多い学園では、この時間は纏まった製作時間がとられている。

 僕がここに入ってだいたい五分もすると僕と同じリズムで三回ノックが鳴る。返事はせずに勝手に入ってくるのを待つのが僕らのルールだ。

「クラウスさん」

 扉の向こうから小さく声がした。暗黙のルールとは違う。

――いつもとは違う、逃げなければ。客ではない。

 僕の名前はたしかにクラウスだが、今日尋ねてくるはずの客は、通いなれている。安易に名前を出すような奴ではない。

 僕は絶対に返事をしない。そういうルールでいままで『売り』をやってきた。それにこの部屋で行われていることがバレれば僕の人生は終わる。成績優秀な子を持ったことを誇っている両親はさぞ悲しむだろう。

 もう一度同じリズムで三回ノックが鳴った。扉の外から同じ声で「クラウスくんはいませんか」と言われて僕は手に汗をかいた。ここで『売り』をやっていることは客しかしらないのだ。椅子から急に立ちあがれば音が響く。気を付けなければ。ざわざわりと背に何かが走る。

 人生の終了なんかよりも今は、この窮地を抜けることが先だ。パニックになりそうなほど心が乱れるなか、目線を室内のあちこちに向ける。

 ぐるぐる目を回しているうちに足元の棚に大型本が二冊しか入っていないことに気づいた。ボロの本を散らばった本たちのところに置き、隠れる。収まったと同時に部屋の扉がきいぃぃと甲高く唸る。

 踏み込んできた足音につかみどころの無い焦燥と、どうか助けてくれと祈ることしかできなかった。

終わり。一時間。

感想・個人的なこと🥰

体調がすこぶる悪いなか書きました。

一人芝居ばかりみていてこうなった。

ほんとうはここでセックスでも書くか悩んだけど、体調が悪いと書けないことが判明した。まじでいま体まっすぐすると痛くて死んじゃう。

ほんとうは寄宿舎とか書きたいんですよおおおお!

普通の生徒はこんなところこなーい

この図書館では色々悪いことが起きる(素行の良くない生徒が連れ込みしたり、薬やったり、売りやったり)

かけなかったな。

ちょっと追記 12/11

「木々が生い茂る」

「室内のあちこちに目線を向ける」

こういうのがいつも課題ですね。

ではまた。

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